『ラストサムライ』広報部
左より
嘉数怜花(出演者) / 宮川璃子(舞台監督補佐) / 石川瑞樹(制作部)
「ラストサムライ 瀧善三郎のBUSHIDO」の公演にあたり、ライフデザイン・カバヤ株式会社様より特別協賛をいただきました!
ライフデザイン・カバヤは住宅関連の事業を中心に、CLT(直交集成板)を活用した環境に優しい住まいづくりに取り組まれています。
また、文化芸術活動に対して、岡山子ども未来ミュージカル「ハロルド!」を中心に様々な地域文化の振興やアートへの支援をされています。
そんなライフデザイン・カバヤの環境や文化芸術への取り組みは?
そして「ラストサムライ」公演に対してどのような思いで特別協賛してくださったのか?
「ラストサムライ」広報部の中高生3人が突撃インタビューを行ってきました!
お話しくださったのは
ライフデザイン・カバヤ株式会社
開発本部 広報課 次長 丹原 浩司 様
--- まずは、ライフデザイン・カバヤって、ズバリ、どんな雰囲気の会社ですか?
丹原
社員同士の仲がよい会社です。非常に風通しが良く、入社1年目の社員でも気軽に執行役員や社長に話しかけられます。社員の提案も積極的に受け入れられ、会社を良くするための意見交換が活発です。
とてもおしゃれで開放的なミーティングスペース。ドリンクも飲み放題!(笑)
朝礼も毎朝ここに本社の皆さんが集まって行われるそうです。素敵ですね。
--- 仕事で一番楽しい時ややりがいを感じる瞬間はどんな時ですか?
丹原
やはり、仲間と一緒に成し遂げた仕事の成果が目に見える瞬間ですね。社員同士の結束力やチームワークは非常に良いと思います。.
「朝起きて行きたくなる会社」というスローガンのもと、仲間に会える、プロジェクトを進めるということもワクワクしてもらえるような会社づくりを目指しています。
社内行事もたくさんあり、運動会や社員旅行などの参加率も高いです。運動会は横断幕やチーム別のオリジナルTシャツを作ったり、準備から楽しんでいます。
--- 岡山でトップの住宅会社なんですよね。トップでいられる秘訣とかありますか?
丹原
現在の立ち位置としては、中国地方で4年連続、戸建て住宅ナンバーワン。岡山県では8年連続ナンバーワンになっています。
また、都道府県別シェアでいうと、岡山県でカバヤのシェア率は10.3%なんです。そして、二桁っていうのは岡山県以外に無いんですね。つまり、シェア率も全国ナンバーワンなんです。
家の受注棟数は景気で左右されます。特にコロナ禍では業界的にとても数字が落ち込んでしまったんですね。弊社も家の受注は横ばいだったのですが、売り上げ自体は延びています。これはなぜかというと、住宅会社だからといって、いつまでも家だけ売ってると将来的には下がっていくことが分かっていたのです。多角経営に舵を切り、ビル、マンション、倉庫、病院などの特殊建築も展開していきました。
さらに弊社は普通のゼネコンじゃなくて、木造ゼネコンになろうと、まずは木造を提案しています。
そして木造についてですが、森は循環しており、木を植え、どんどん大きくなると、不要な木を切る「間伐」が必要になります。
その間伐材は、今までは家具に利用したり、燃やしてバイオマス発電の燃料にしたりするくらいしか活用方法がなかったのですが、間伐材を大量に利用できるCLTに着目しました。
--- その「CLT」や「CLTハイブリッド構法」について、中高生にもわかりやすく説明していただけますか?
丹原
CLTとは「Cross Laminated Timber」の略で、板を繊維方向が直交するように並べて接着した木材のことです。
「CLTハイブリッド構法」というと、玄関前にあったパネルですが、本来なら柱があって土台があって梁があって、それに筋交いを入れるのですが、その筋交いを縦や横にもどんどん増やしていくと「面」になるという発想から来ています。
日本古来からの在来木造に、このパネルを組み合わせたということなんです。伝統と新技術の融合ということですね。施工性も良いのでどこの工務店でも建築できます。
--- この技術の開発には10年もかかったとのことですが、最も困難だったことは何ですか?また、この構法開発を進めることになったそもそもの 「きっかけ」や「原動力」はなんですか?
丹原
一番困難だったのは、技術的な挑戦と、それを実際の建築物に応用するためのノウハウを積み重ねることでした。
きっかけは、岡山に日本で一番大きなCLT工場をお持ちの銘建工業さまから、どうやったら売れるかなという話になったときに、岡山で一番の住宅会社の弊社に売らせてくださいという話になりました。
CLTは間伐材が使えるということで木材の有効利用になります。しかも数十年使用した建物のCLTパネルをリサイクルできるという環境に優しい材料ですので非常に優れています。これを全国に広めたいという想いですね。
--- CLT構法を取り入れた事例を教えてください。
丹原
CLTは板で並べれば床になるし、建てれば壁になるし、海外では高層ビルにも当たり前に使われています。
そこでまずは、自社で使ってみようということで、倉敷の住宅展示場のベランダの床に敷いてみたら、すごく施工性もよかったんですよ。木の板だから、並べて終わり(笑)
そして2016年、倉敷で日本初のCLTを用いた住宅展示場を建てました。これが話題になって新聞や雑誌に取り上げられました。
さらに施工例をあげると、岡山シンフォニービルの近くで一棟貸しのホテルも手がけました。有名な設計事務所で、CLTで施工したいとのことだったんですが、請け負えるのが弊社しかなかったんです。
さらに、このCLTで建物を建てるという技術をもっともっと広めていきたい。弊社で独占するのはもったいないし、日本の林業を活性化したい。
日本中の住宅会社や建設会社がCLTを使えるようにならないかなと思って、社内に日本CLT技術研究所という団体をつくり、商品開発をしてフランチャイズ展開というのを行っています。
--- そして住宅にも取り入れていったってことなんですね。
丹原
そうですね。もともと強度のあるCLTを住宅にどうにか組み込みたいということで、CLTパネルを薄くするなり、小さくするなりして研究を進めていたら…去年、能登半島で地震がありました。
実はあの時は直近2年前から300回近い地震があったんです。建物って地震で揺らされると弱くなるんです。すでに揺らされて弱くなっていたところに、震度7がドーンときたから一気に倒れたんですよね。
事前にパソコン内の仮想空間で建物を揺らしながらパネルサイズを決め、実際につくばの土木研究所で振動台実験を行い、震度5から7相当の地震に対して70回以上耐えることができました。
この実験をもとに昨年の10月、「地震に勝ち続けられる家、そして住み続けられる家。」を開発、販売をスタートすることができたんです。
--- ライフデザイン・カバヤは社会貢献にも力を入れていますが、特に演劇への支援についてお伺いしたいです。
丹原
岡山子ども未来ミュージカル「ハロルド!」を通じて、子どもたちの成長をサポートしています。仲間とのつながりや表現することの大切さを、そして達成感を経験してもらい、自己発見を促進しています。
この活動は弊社にとっても、地域社会との関係を築くためのきっかけにもなります。「育成こそ地域貢献」という理念に基づいて、 企業の社会的責任を示し、ブランドイメージの向上につながります。
「ハロルド!」を通じて、日本の未来を担う「人」を育て、受け継がれていく 「文化」を創造することを目指しています。
--- 「ハロルド!」に出演した子どもたちのその後の活動についてはどうですか?
丹原
初演から6年が経過し、その後も演劇や舞台演出についてさらに学ぶために専門の学校へ進学した子どもが多くいます。
彼らはプロジェクトでの経験を活かし、自身の興味や才能を伸ばしながら新たなステージへと挑戦しています。
--- 次回、「ハロルド!」を万博でやろうという話があると思うのですが、そのように万博でやろうというきっかけや思いなどお聞かせください。
丹原
2025年の大阪・関西万博への参加決定により、岡山だけでなくやっぱり世界に向けての発信をしてグローバルな視野を育成していきたいということです。
このように、演劇を通じた社会貢献活動は、子どもたちの成長支援、地域社会との連携、企業価値の 向上、文化の発展など、 多面的な効果をもたらす取り組みとなっています。
世界中の人が集まってくるという万博のあり方にちょうどこのミュージカルの思いが合っていると思います。
--- 他に文化・芸術方面の社会貢献を行っていれば教えてください。
丹原
弊社の広報で「ミス・ワールド岡山大会」の運営を行っており、これまでに3回開催しています。
その中で、第1回大会と第3回大会では準ミス日本代表を輩出しました。これは単に美を競うものではなく、ミス・ワールドの理念である 「Beauty With a Purpose(目的のある美)」に基づき、各出場者はミス・ワールドのネームバリューを活用しながら、地域社会をより良くするための活動に取り組んでいます。
これらの活動を通じて、社会貢献の意識を高めるとともに、地域全体の発展に寄与しています。
怜花
実は私の姉も出場しました!
丹原
え?うそー!?
(写真を指して)この方?二年連続で出場してくださって…そうですか!
それではぜひみなさんもエントリーしてください(笑)
--- 「ラストサムライ 瀧善三郎のBUSHIDO」への協賛について、なぜこの公演に協賛くださったのでしょうか?
丹原
この「ラストサムライ」が日本文化や武士道精神を世界に発信する内容であることから、日本の伝統や精神性を再認識し、広く伝える機会と捉えました。
また、武士の生き方や誇り、自己犠牲といったテーマが、企業や団体が掲げる理念やメッセージと共鳴した可能性もあります。
加えて、世界的な作品への協賛を通じて、文化・芸術支援の一環としての社会貢献を目指したいと考えます。
--- 瀧善三郎について、個人的な感想をお聞かせください。
丹原
背景には当時の価値観や武士としての責任感があったとはいえ、愛する家族を残して旅立たねばならなかった彼の心中を思うと、計り知れない悲しみと無念さが胸に迫ります。
彼の行動は、時代の犠牲となった一例として歴史に刻まれていますが、同時に個人の尊厳や家族への想いがどのような形で語り継がれるべきかも考えさせられます。
この出来事は、武士道の一面を示すと同時に、人としての愛情や葛藤を深く感じるエピソードだと思います。
--- 「ラストサムライ 瀧善三郎のBUSHIDO」の公演について、どんな期待を寄せていますか?
丹原
舞台を通じて日本の伝統文化や武士道精神が生き生きと表現され、観客に感動を与えると、日本の歴史や価値観への理解がもっと深まりますよね。
また、 この公演が日本文化を国内外に発信し、文化交流の架け橋としての役割を果たすことも期待されます。
さらに、登場人物たちの 葛藤や成長を描くことで、現代に生きる私たちに自己を見つめ直すきっかけを与え、 普遍的なテーマ として共感を呼び起こしてくれることでしょう。
--- 「ライフデザイン・カバヤ」と「劇団歴史新大陸」に共通する点があれば教えてください。
丹原
一つは、両者とも地域社会とのつながりを大切にし、活動を通じて地域の発展や文化の向上に寄与しています。 弊社は住宅や建築を通じて、劇団歴史新大陸は舞台芸術を通じて、地域に新しい価値を提供している点が共通しています。
二つめとして、人を育てる理念。 弊社は、住宅を提供するだけでなく、人々の暮らしを豊かにし、未来を担う人材を育成することに力を入れています。一方、劇団歴史新大陸も演劇を通じて若い才能を育てる場を提供し、次世代の文化を支えています。
三つめに、歴史や文化を大切にする姿勢。弊社は、地元の木材や文化を取り入れた建築を推進し、地域のアイデンティティを守っています。 劇団歴史新大陸も、 日本の歴史や伝統をテーマにした作品を通じて、過去の価値を現代に伝えてい ます。
3点ほどあげてみましたが、それぞれ異なる分野で活動しているものの、共通して「人」や「地域」に焦点を当てた活動を展開しており、その姿勢が多くの共感を呼んでいるのではないでしょうか。
--- 最後に、丹原さんにとって「武士道」ってどんなものだと思いますか?
丹原
この冬の休みに新渡戸稲造の「BUSHIDO」っていうのをちょうど読もうと思って買っていたんですよ。
そんなタイミングで、歴史新大陸への協賛の話があって、まさに「渡りに船」(笑)
なんだか運命のような感じがします。
会社を成長させるには、仕事と人をどんどん投入させればいいのですけど、人は潤沢ではない。人が増えなくても、今まで以上の仕事量を熟さないといけない。
今までやってきたことを8割にして、残りの2割で新しいことを加えてもダメなんです。全部10割のままでやらないと。
効率を下げるわけにもいかないし、納期を長く取るわけにもいかない。同じ状況で新しいこともしていくにはどうやったらできるだろうってずっと考えていたのです。
その中で、私が担当している「広報」には「課」っていう漢字がついているんですね。
これを「道」って置き換えたらどうなるのか。
剣道、柔道、茶道等々、「道」って…それを極めるのに終わりがないんですよね。
自分の業務も「広報道」という長い道を極めていくために、もっともっと考えていかなきゃいけないっていう一つの気づきがありました。
この令和の中で、今まさに武士道であるとか、そういうものがあらためて注目される時期なのかな。やっぱり日本人が日本人であるために、心の底に持っておかないといけないひとつのエッセンスかなと思っています。
インタビューを終えて
瑞樹
私は、「大地震に勝ち続ける、住み続ける」という言葉がとても印象に残りました。
近年、能登半島地震や日向灘地震など大きな地震も増えたし、南海トラフ臨時情報が出されたり首都直下地震の恐れがあったりなど、地震の被害がより一層恐れられます。
CLTの震度5〜7の地震にも70回以上耐えられる家なら、地震大国の日本でも安心して家に住み続けられると思いました。
コストの問題の解決方法を考えたりオリジナルCLTコア構造やCLT専用構造計算ソフトを作ったりなど様々な試行錯誤をされていて、そこまで考えられたものだったとは知らなくて驚きでした。
CLTが全国に、世界に広がれば、SDGsにも繋がり環境にも優しい家づくりができると思いました。
私も将来そんな家に住みたいと思いました!
璃子
私は建築関係とは異なる、文化・芸術方面での社会貢献についての話が印象に残っています。
私自身カバヤさん主催の岡山子ども未来ミュージカル「ハロルド!」への出演経験があり、そういった取り組みをされていることは存じ上げていたのですが、その裏側には演劇を通じた子どもの成長と育成、地域社会との関係構築、文化の継承と発展等、様々なゴールがあることに感銘を受けました。
また、ミス・ワールド岡山大会の運営においても、”Beauty With a Purpose”という理念の目的の部分に目を向けて取り組まれていることを知り、カバヤさんの社会貢献への思いの強さを感じることができました。
今回のお話を受け、ラストサムライという舞台が「瀧善三郎さんの功績を伝える」という目的を果たせるよう明確なゴールに向かって頑張っていきたいと思いました。
怜花
私が特に印象に残ったのは丹原さんがおっしゃっていた『朝起きて行きたくなるような会社にするために…』という言葉です。オフィスを見学させて頂いたのですが、カバヤさんは一人一人のデスクがある訳ではなく、それぞれ自分のしたい所で仕事ができるようになっていました。雰囲気も柔らかく、コーヒーメーカーなんかもあり、それこそカフェのようでした。
しかも、毎年交互に大運動会と社員旅行がやってくるそうです!大運動会では小道具やTシャツなどを自分たちで制作して行っており、本社の社員も支店の社員も参加するのでかなり盛り上がるんだとか、、
初めてカバヤさんのオフィスを見学させて頂いたり、行事について知ったりして、従業員が働きやすいようにここまで工夫されていることに驚きました。
私も将来は朝起きて行きたくなるような会社に就職したいです!
丹原さん、お忙しいところありがとうございました!
企画・進行:一般社団法人歴史新大陸 清川 亮
記事:劇団歴史新大陸 小野田 陽一郎